ピエモンテ州、北イタリアにやってきました。
田舎はすばらしいです。静かだし、食べ物はおいしいし。
けれど自分が滞在したこの地域は、田舎なのにただの田舎ではない。その特別感がわたしのブログでちょっとでも伝われば幸いです。
そこにはワイン畑が一面に広がります。しかし丘が多いので、段々畑のように機械は導入できず、収穫は手作業で行うのだそうです。南イタリアで目にしたように、一家族が100ヘクタールを有する平地のワイン農園とはまた別の世界でした。
小さく限定されたエリア毎にぶどうは収穫され、ワインとして商品化されラベルが貼られます。たとえ同じ品種のぶどうを使用していても、採れるエリアの土によってぶどうの味が微妙に違ってくることから、一定のエリアを外れるとブランドを名乗れなくなる決まりがあります。コシヒカリが日本全国にあることが嘘みたいな世界です。
海外に対するマーケティング以前の話で、まずは地元のお客さんや生産者が味の違いを当たり前のように心得ており、揺るがない需要があったことが本当にすごい。私が言いたいのは、地元に根付くその肥えた舌があっぱれだということです。
というわけで、きっと需要のレベルの高さこそがイタリアの底力なのだ!と。
ここに来てから知ったのですが、マティーニやカンパリなどのリキュールの工場もあります。トリュフの産地でもあります。また世界一おいしいと言われるヘーゼルナッツの産地で、チョコレートクリームで知られるニューテラの工場もあります。すごい地域でしょ〜!
私たちはというと、そんな田舎をチャリで走り、古い教会がある町に行って、最高のエスプレッソとジェラートを食べたりしました。贅沢ですね。
そんな場所に2週間滞在しました。贅沢です。
でも節約旅ですから。働きましたよ!私たちは、旅をしながら時折農作業や家のお手伝いなどをしてお金を節約しています。このメリハリ感が実は好きです。
家に泊めてくれ、三度の飯を食べさせてくれるかわりに仕事を手伝わせてくれたのは、イタリア人のこのおじさん。よく働くし、私たちもよく働かせられました。そして、おいしいものをたくさんご馳走してくれました。
このおじさん、困ったことに話の内容がいつも……下品!(笑)もっと困ったことには、私たちカップルは笑い飛ばす器量がなくただ困惑するありさまという……。
しかし実は立派な先生なのです。イタリアには当たり前のようにワイン学校があり、そこで14~20歳までの子どもにワインについて教えているそうです。わたしたちを地元のワイナリーに連れ行ってくれ、テイスティングをさせてくれたりしました。本当はエロいのではなく偉いおじさん。
ワインの先生をする傍ら、オーガニックヘーゼルナッツも生産しているそうです。故にわたしらの仕事は、主にヘーゼルナッツの剪定作業でした。水道管を通す作業やらで穴掘りの仕事もしました。
肉体労働の後はたくさんご馳走!
こちらは食事の例。このおじさん、やることなすことすべて素早い。おじさんの指示通りみんなでぱーっと作ってあっという間に「いただきます!」。
こちらはトリュフ。
生の牛肉ミンチにたっぷりのレモン、オリーブオイル、薄くスライスしたセロリ、胡椒、塩少々をかけて食べます。トリュフそっちのけで生で食べる牛肉のほうに感動。すごいおいしいんですよ!
濃厚なタンパク質と合わせるのが良いそうで、半熟卵焼きにもトリュフ。定番の食べ方なんだとか。
両方、素材の組み合わせを楽しむ食べ方でした。
このおじさんとの生活を通して感じたことは、一般市民の食に対するこだわりや追求心のレベルの高さ。
そりゃ、ワインの先生だからっていうのもあるかもしれませんが、でも世界中にブランドが知れ渡るような食材やお酒をプロデュースできるこの地域は、やっぱり地域全体ですごいものを持ってます。そんな地域が存在するイタリアってやっぱり食の底力が違います!
でも日本人の舌も負けてないっす。