水酛(みずもと)、生酛(きもと)って何? 遠野で飲んだどぶろくから学ぶ

こんにちは

味噌ラーです。

ミーハーは卒業して日本酒を深く理解するんだ。

理系の脳がないのでどこまで理解できるか不安ですが、理解できたことしか書かないやさしさがこのブログの長所です。

日本酒のオリジナルはどぶろく、というのは周知の事実。やはり日本酒好きとして避けては通れないのがどぶろくでしょう。

さて、遠野にある民宿「民宿とおの」でどぶろくを飲みました。言い直すと、どぶろくを堪能するために民宿とおのに宿泊しました。

以前 どぶろくを体感しに岩手県遠野まで行って来た という記事を書きました。どぶろくとはを読んでみたい方はどうぞ。

……ちなみにこちらのお宿、どぶろく特区の遠野にあり、昔ながらの食事が魅力です。朝ごはんのみそ汁を囲炉裏の火にかけて出しているんですから。素敵すぎでしょ?

民宿とおのの旦那さんの息子の佐々木要太郎氏は杜氏であり発酵のスペシャリストチーム民宿とおのを率いて、米作りから担うどぶろくの他に、肉、魚、乳製品も発酵調理し、民宿とおのの隣に建つオーベルジュ「とおのや要」で提供しています。

話は魅惑のどぶろくに戻します。

このチーム民宿とおのが作る三種類のどぶろくを試してきました! この違いがわかると日本酒への理解も深まります。

その三種類とは、どぶろく水もと仕込、どぶろく生酛仕込、どぶろくスタンダード。*いづれも商品名

そう、お察しの通りこの三種類の違いは酛の違いにあります。

酛(もと)とは

広辞苑には、「日本の酒を作る元になる米で、新たに米を加えながら増殖し肥育させるもの」とあります。

酛は水、麹、米から作られます。あらかじめ準備したこの酛をスターターとしてさらに水、蒸米、麹を仕込みアルコール発酵をさせます。

酛の作り方の違いにより、水もと(無添加)、生酛(無添加)、スタンダード(協会酵母添加)に分けられています。

はるか昔、お米が日本へ渡来し酒が作られるようになった時、酒造りに必要な菌の情報はなかったのです。空気中に飛んでいる菌(酵母菌、乳酸菌)が都合よく水と米と米麹(蒸米に勝手にカビが生えたもの)が仕込まれた甕に入り込んでくれてお酒が出来上がったということです。

そして、都合よく甕に入り込んでくれていた菌をどうにか効率よく採取、培養できないかと出現したのが””です。

1603年頃のイエズス会の宣教師の辞書に”「モト」はサケのmoto”と記述があるそうですよ。

水酛とは

最も原始的な自然発酵より確実に発酵させる方法で、「そやし」とも呼ばれます。「そやし」は発酵を確実にする「もの」を含む液のことである。(わが家でできるこだわり清酒 参照)

具体的例は、

小さなおにぎりを作り、容器に入れる。そのおにぎりが隠れるくらいに白米を入れる。最後に水を、米の量(容量)の二倍ほど入れる。これで仕込みは完了。軽く蓋をして数日置くと、プクプクと泡が出てくる。酵母が増殖して発酵を始めた証拠である。(わが家でできるこだわり清酒 参照)

佐々木要太郎氏作成のどぶろくパンフレットには、このような記載があります。

どぶろく・水もと仕込
……水・お米のみを使用し天然の乳酸菌を繁殖させ仕込み水を造り(そやし水)、この仕込み水に蒸し米と米麹を入れ、天然の酵母菌を繁殖させ醸す仕込み方法です。……

そして実際に飲んでみた水もと仕込はこちら

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一言で言うと非常においしい!

とおのや要が催していたイベントで試飲させていただいたどぶろくです。

思い込みで酸っぱくて雑味のあるお酒を想像していたんです。しかし味は逆でした。マイルドで味のバランスがまぁるく整っています。この時は天然のパルメザンチーズがつまみで、チーズとの相性に衝撃を受けました。チーズの強い味を洗い流すと言うより、チーズのおいしさを最大限に、どぶろくのおいしさも最大限に、と相乗しておいしさが広がるイメージでした。

生酛とは

天然酵母を取り込むと言う点では、自然発酵は水酛と同じである。ただ、「酛すり」と言われる工程が加わり、安全でかつ純粋に天然酵母を培養する技術が編み出された。(わが家でできるこだわり清酒 参照)

*ただ、生酛とうたわれたお酒のほとんどは、乳酸が添加されていなくても酵母は添加されている気がします。きっと乳酸が添加されていないものを生酛というだけなのかと。表記を指定する法律が恐らくそこまで細かく言及していないと想像します。
また商品説明のパンフレットには、このような記載があります。

どぶろく・生酛仕込
……お米・米麹・水のみを使用して、天然の酵母菌と乳酸菌を取り入れ酒母を育てます。全て昔ながらの丹念な手作業で行い、酒母作りの工程だけで30~40日間。その後、酒母に蒸し米と米麹を加え、さらに30〜45日かけて醸してから瓶詰。3ヶ月~6ヶ月の熟成をかけていよいよ出荷となります。……

そして実際に飲んでみた生酛仕込はこちら

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こちらもおいしい!

この時お酒を持ってきてくれたのがチーム民宿とおのでどぶろく作りをしている方で、彼曰く「暴れん坊すぎて出荷できないものでさっき味見したら梨みたいな味がします」と。生きてるんですね!

これこそどぶろくに持つ憧れです。コップの中のどぶろくが力強くプシュプシュしゅわしゅわ鳴っています。

やっぱり他の二つと味は似ていますが、比較的アルコールを一番感じたかもしれません。それは実際のアルコール度数なのか、梨のようなフルーティーさがアルコールを連想させたのか。雑味も多少あり濃くて深い印象を受けました。

ヤマメ焼きやフッコの刺身なんかと一緒にいただきました。どぶろくで始まる夕食ってこんなに豊かなんだと感動。

チーム民宿とおののどぶろくスタンダード

世の中のほとんどのお酒っていうのは、日本醸造協会が頒布している酵母を使っているんですね。

知らなかった!

俗に言う”香りづけがしてある日本酒”というのは、そのような香りが出る酵母を使っているということなんだそうです。

戦後の日本酒造りを安定させてくれた仕組みであることは間違いなく、良質な日本酒を生み出しています。

チーム民宿とおののどぶろくスタンダードの解説くを一部引用すると、

どぶろくスタンダード
お米と水・米麹・協会酵母を使用し25日〜40日かけて仕込みタンクに発酵させます。その後、火入れ殺菌などは一切せずに完全生の状態で瓶詰めし、3ヶ月〜6ヶ月かけ熟成をさせます。酵母菌や乳酸菌は生きたままクリーミーな泡立ちと、まろやかな酸味へと変貌を遂げます。……

実際に飲んでみたどぶろくはこちら

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爽やかでやさしい味でした。

このまま飲んでもおいしいですし、ソーダ割りにしてもスッキリおいしかったです。素朴でいい香りがコップに顔を近づけると飛んでくるんですよね。熟成させているのにフレッシュと言う感想が出るのが自分でも不思議なくらい。雑味の少なさと、元気の良い匂いが印象的。

*ちなみにどぶろくは生きもの、且つ熟成に長い時間を費やします。在庫がいつもあるとは限らないようなので事前に要確認です! あと写真が下手ですみません。もっと一生懸命撮ればよかったと後悔してます。

まとめると

    上記に紹介したチーム民宿とおののどぶろく3種の味の特徴

  • 水もと仕込:丸い味
  • 生酛仕込:濃くて元気
  • スタンダード:フレッシュ&やさしい

とは言ったものの、それぞれ生き物ですから造るたびに味が異なるんだと思うんです。特に今回の生酛は「出荷できない暴れん坊」という紹介付きでしたし。

味が安定しないとしたらむしろそれがどぶろくの醍醐味という面もあると思うのでこれくらいの方が魅力的なんじゃないかと思います。

腐敗させないでお酒を造ることだって素人からするとめちゃめちゃすごいことですが、味がこんなに優れているとなるとそれはもはや神業!


「チーム民宿とおの」と本文では紹介しましたが、どうやら「醸し田屋」という名前でもお酒の取り扱いされているようです。サイト内に取り扱い店一覧がありました。何しろ人気かつ手作りのどぶろくです。生産が追いつかず在庫がない場合があるので事前に確認されることをオススメします。

また通販をしている取り扱い店もあるようなので、「民宿とおの どぶろく 通販」などのキーワードで検索してみてください。


今回参照した本はこちら。丁寧な解説が入門者にもおすすめです。


プロフィール

ミアタケ

2年4ヶ月に及び、みそ汁をふるまう世界一周旅行をする。味噌に感化され和の文化が好きに。帰国後30歳からミア流和式花嫁修業に精を出す。
さまよいがちにグローバル化する現代ニッポンの産物であり、博愛主義の愛国者と自分自身を分析する。

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